工房紹介 1

今回は、工房の「お宝」をご紹介します(笑)

工房の玄関を入ってすぐの壁に架かってる油絵、これは、Ericのお兄さん C.J.M Heidsieckさんが描いてくれたものです。

彼の別荘に遊びにいったときに、新たに入手したカヌーに名前を付けてそれをお兄さんが書き入れたときの様子です。

以後は長い余談ですが、そのカヌーの名前は、なんと「NAOTO」と名付けられたのでした。

その理由は、たまたまボクが遊びに行っていたことをきっかけに、その名前は古代ギリシア語で航海者をあらわす「Naute」(ノーティラス号や、広い意味ではナウシカも同源)をもじったうってつけの名前だという、なかなか知的な洒落の利いたものでした(笑)

早速タンデムで処女航海。

ボートなど漕いだことがなかったボクは、力の配分をうまく出来ずに途中でへばってしまったのですが、「休んでていいよ」と言われて漕いでもらっているときの、ゆっくりと、しかし力強く波の間を進むあの感覚は、干満の差が激しくつい数時間前はこの水底を歩いていたのにという不思議な感覚とも相まって、彼の演奏するショパンのバルカローレ(舟歌)といまだにぴったりシンクロしていて、強烈な印象が消えずに残っています。

C.J.Mさんはカヌーとは別に少し大きな自分の船を持っていて、ここにいる間は1日のうちの半分くらいをその船に乗って過ごしている様子でしたが、モーターが付いた船は好きじゃないと言って帆を張って航行していました。

一度乗せてもらいましたが、音も無く波の上を軽快に走るその船は、潮風を受けてとても爽快でした。ただし、「向かい風でも進めるんだよ」と言って蛇行して風向きを遡る様子を見せてもらったとき、船酔いして敢え無くダウンしてしまいました(笑)

ヒースの茂った小高い岩山の上から、本でも読みながら鳥と一緒に眺めているのが良い様です(笑)

ある晩、ボクが修理したピアノをEricが試しに弾いてくれた曲は、ドビュッシーの「Voiles(帆)」や「bruyères(ヒースの茂る荒野)」という最高の心遣いと贅沢。曲と現実の境界線を見失います(笑)

調律師として困ったことに、音楽にこれ以上の何を望むことが出来るのか?というのを今でも引きずっています(笑)

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