「白いピアノは変色する?」
結論から先に言うと、黒いピアノとほぼ同等です。
メーカーで生産されたままのものでいうと、白よりも木目のピアノの方が、紫外線によって変色したものを多く見かけます。
ピアノが置いてあった場所に大きく左右されますが、日光を直接受けたり床に反射して受ける場所においてあったピアノは紫外線による日焼けの影響をかなり受けます。
とくに木目のピアノはメーカーや生産年代で使われている塗料の種類が様々で、着色に使われた塗料が染料系のもの(パソコンのプリンターの着色料などに多く使われているものと同じ系統)は経年により色が抜けやすいですし、その上にコーティングしてあるトップコートの質もかなりまちまちです。
それでは、黒いピアノは変色しないかというと、実はそうでもありません。
木目のピアノの場合と同じで紫外線の影響は受けますので、塗膜が劣化して白っぽく曇った様になったり、指で触ると色落ちする様な感じで粉っぽくなったりするものもあります。
塗装面の変色や変質は元々塗ってある塗料の質にも大きく依存するので、白いピアノも大量生産時代の廉価版のピアノや、後で塗り直した業者さんの知識やコストパフォーマンスなどの都合によっては、数年で変色してしまうものもある様です。
以下は、他業者さんが全塗装した白いピアノが変色して、それを当方で直す様にご依頼いただいたときの作業の様子です。
全体にタバコのヤニみたいな汚れがついていますが、塗膜に染み込んでいて擦っても落ちませんでした。
金属部分の錆はそれほど酷いわけではないので、施行後の年数もそれほど経っている感じではありません。
ただ、内部にはねずみが巣を作っていた跡などもあり、使用や保管の環境的にはあまり良くはなかった様子でした。
部分的に表面を削って磨き直しをしてみたのですが、変色は塗膜の深い部分まで進行していましたので、本当ならば現在の塗膜をすべて剥がして再塗装したかったのですが、お客様のご予算的な都合もあって劣化の酷い部分を優先的に再塗装し、残りの部分は表面を削り取って再研磨するという作業を行うことになりました。
塗膜を削って磨き直した部分は若干濃いめに変色した跡が残っていますが、表面のツヤも蘇ってお客様には満足していただけた様子でした。
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塗装の技術や知識に関して…
私自身は自動車の補修工場の塗装部門で働いていたことがあってそのときに1から塗装を学ばせていただきました。小さな町工場でしたが昔気質の社長さんで、入社して数年は塗装などさせてもらえず、よく怒鳴られながらひたすら下地処理の毎日でしたが、最終的には塗装チーフになり納品前の新車の補修などディーラーの店長から直々にご指名をいただけるまでになりました。
塗装材料の高品質化によって施工者による仕上がりの差は昔と比べるとそれほど大きなものではなくなっていますが、材料の選定などの知識も含めた技術力と、収益率なども含めた施工業者のポリシーによって仕上がりに大きく影響するジャンルだと思います。