カテゴリー別アーカイブ: メンテナンス

弦、ピン磨き

この作業もクリーニングやリメイクをする際の地味な必須項目です。

弦の振動こそがピアノの音の源なので、良い状態をなるべく長く保たせるためのメンテナンスです。

チューニングピンや駒ピン、ヒッチピン(今回はフレームと同色に塗装したものですが)、プレッシャーバーなども磨きます。

今回は作業前後の写真を撮るために、部分的に施行しています。


チューニングピン



駒ピン

今回のピアノはそれほど錆が進行していなかったので写真ではわかりにくいかもしれませんが、極端なものでは施行の前後でピアノの音が変わるのが実感出来るものもあります。

このピアノはアップライトですがグランドピアノの様に屋根が斜めの開くタイプなので、見栄え的にもまたきれいになると思います。

キーピン磨き

鍵盤が動くときにガイドの軸となるのがフロント・キー・ピンとバランス・キー・ピンです。

真鍮製のものや鋼にメッキしたものなどがありますが、ピアノの使用状態によって錆が出たり、防錆剤の影響で表面が粉を吹いた様になっているものがあります。

ピアノを弾いたときに鍵盤の動きをまずはじめに伝える部品なので、ここに抵抗があると直接タッチに影響しますが、定期的な調律などには含まれないことの多い項目で、販売用の中古整備でも手を入れていないものも意外と多い様に思います。

磨き方は至って単純で、ウエスにコンパウンドをつけてピカピカになるまで1本ずつひたすら磨きます。


キーピンの根元にあるパンチング・フェルトとパンチング・ペーパーが作業で汚れない様に外しておきます。


パンチング・ペーパーは各鍵盤ごとに微調整してあるので、順番どおりに戻せる様に並べて保管します。

キーピン磨き
筬を汚さない様に紙でマスキングしています。紙がある左側が磨いたキーピンです。


1本ずつひたすら磨いた後はパンチングを元通りに戻して出来上がりです。

(とくに費用を請求出来る項目ではないのですが、最近、作業の内容を詳しくお知りになりたいというお客様のご要望がありましたので、その1つとしてご紹介させていただきました。今後も細かい内容でも出来るだけご紹介していきたいと思います。)

ピアノのペダル磨き

GWということで、ご家庭でも出来そうなピアノのメンテナンスとして、ピアノのペダル磨きをご紹介します。

ずいぶん前に読んだ「パリ左岸のピアノ工房」の中でも、ペダルを磨いていないピアノはなかなか売れないみたいなことが書いてあった記憶がありますが、ペダルが光っているのはピアノが良くなって見えるポイントの様です。

機能的には錆びていようが光っていようが同じなのですが、当工房の大切な方針のひとつに「子供さんが自分でピアノに向かいたくなる」という動機付けは非常に大切だとの思いがあり、日常の業務の中でも「見た目」は特に大切にしています。

ペダル磨きは通常はピアノを寝かせてペダル単品を外して機械を使って作業していますが、ご家庭でも出来る手磨きの様子をご紹介します。

茶色く錆びたペダル。

用意するものも、ホームセンター等で手に入りやすいものを使ってみました。
・コンパウンド(一般的にメジャーでお手頃なピカールや自動車用の超微粒子タイプのものが良いと思います。)
・耐水ペーパー(#800〜#2000くらいで数種類、錆や傷が深い場合には#400や#600からあれば便利です。)
・ウエス(ぼろきれ)
・マスキングテープ
・ばけつ
・ぞうきん
・その他・・・置換型の錆び取り液はヤマハ等真鍮むき出しのもので錆や傷がそれほど深くないものには有効です。
新聞紙等(水研ぎの汚れた水で床を汚さない様に。)

作業前に、ペダルの周囲のフェルトを汚さない様にマスキングしておきます。

床を汚さない様に新聞紙等を敷いておきます。自分がお客さんの家で作業する場合、最近はペット用の吸水性のシートを使っています。

耐水ペーパーに水をつけて、荒い番手のものから徐々に細かいものへペーパーがけします。
イメージとしては、いちばん荒いもので錆や傷をきれいに落とし、細かいものでペーパー自体の傷を徐々に消してゆく感じです。

#2000番くらいまでペーパーがけしたところ。

ウエス(ぼろきれ)にコンパウンドをつけて磨きます。

磨き終わったところ。表面が錆びていても磨けばまたピカピカになります。

マスキングを外して出来上がりです。
磨いたものといないもので、ピアノ全体の印象が大きく変わるのは本当に不思議です。

通常ペダル単体で施行する場合は、この後再び錆びないためのコーティング処理をしています。
ご家庭では、うっすらと錆が出てきた頃に再びコンパウンドがけをすれば、それほど苦労なくピカピカの状態を保つことが出来ると思います。

河合系等のペダルは、真鍮の表面に金メッキ処理が施されていますがその下から錆が出てきますので、メッキを剥がす分少し荒めの番手(#400や#600)から同様の作業をします。

海外製のピアノ等、ごく稀に真鍮ではなく鉄に金メッキをしたものがありますが、その場合は磨くと銀色になりますので、金色にする場合はメッキ屋さんで再び金メッキする必要があります。

鍵盤蓋の内側のメーカー名や、鍵穴の周り等の金色の部分も同様にしてピカピカにすることが出来ます。(周りの塗装部分への影響には注意が必要です。)