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透かし彫りの譜面台

過去の製作例の中から、オリジナルの透かし彫り譜面台についてご紹介します。

オリジナルということでデザインから制作するのですが、なるべくお客様のご要望やシチュエーションに合わせて形にする様に心がけています。

今回ご紹介する例では、以前から顔見知りのお客様であったことと、仕上げについてはピアノの選択も含めてすべてお任せいただいたこともありましたので、途中の打ち合わせもほとんど無く(ただし、建築中の現場には何度か足を運ぶ機会があったので、お部屋の完成予想などもお話しさせていただきながらインテリアの雰囲気も掴むことが出来ました。)モチーフなど当方で勝手に決めさせていただきましたが、オーダーいただく場合にはなるべく多くのご要望をお聞かせいただいたり、可能ならばインテリアや家具などイメージの参考になる写真をお送りいただいたりした後製作に取りかかります。

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まずはデザインの下書きから始めますが、仕上がりの雰囲気とそれぞれのモチーフ、強度的なバランスなどを念頭に置きながらながら作業を進めるので、思いの外時間がかかります。

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アンティークの譜面台も参考にしたりしながらデザインを煮詰めていき、下書きが完成したら細かい部分を修正しつつきれいな形に整えてデザインを完成させ、材料に転写して切り抜き塗装します。

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作業は細かいのでこれにも時間がかかりますが、ここでは省略して今回はなかなか説明する機会のないこの譜面台のデザインについてご紹介させていただこうと思います。

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仕上がりの全体像はいちばん上の写真にもありますが、新築のたくさんの装飾がある女性的な淡い色使いのインテリアの中で映える様に、ピアノ本体も曲線基調の猫足のものを選んだので、譜面台も曲線を基調にしています。

全体のイメージとしては、ピアノがティアラをつけている感じになれば良いなと思いながらシルエットを決めました。

クラシカルなものから型取りした譜面台を既製品としてオーダーすることも出来るものもありますが、重厚感があり少々無骨になるかもしれないということもあって、オリジナルで製作することにしました。

中央の部分は、クラシカルな譜面台にも多くモチーフとされている竪琴を取り入れつつ、その部分は実はオーナーさんのお名前を表しています。
また、このピアノはそのオーナーさんへの新築祝いを兼ねたプレゼントというシチュエーションもありましたので、そのお名前にリボンを組み合わせた様なデザインにしてみました。

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その外側は古典的な蔦模様のモチーフに見せつつ、たくさんのハートで取り囲んであります。

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そしてその外側は、このオーナーさんが他所から来られてこちらで事業に成功して家を新築されたということで、しっかりと地面に根ざした蔦模様が外側に向かって伸びていますが、それは両側に天使が羽を広げている様にも見える・・・ということになっています(笑)

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上記の説明は少し分かりにくいかもしれませんが、少し謎なくらいがデザインの醍醐味ということで(笑)

ということで、数年来お付き合いさせていただいていて大変お世話になった方のご依頼ということもあったので、思う存分好き放題させていただいたわけですが、そんな想いが通じてかどうかは分かりませんが、たまたま納品した後すぐくらいのタイミングで、某ピアニストさんが来日ツアーの余暇で富山に遊びに来ていたので、こちらのお宅でバーベキューをしながらこのピアノを弾いてもらう機会もあったりと、幸運なオーナーさんを象徴する様な出来事もありました。

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本場ドイツの職人さんによる透かし彫りの譜面台をオーダー出来るサービスもありますが、この様な1点ものの譜面台もいかがでしょうか。

ちなみに、アンティークのピアノから型を取った汎用タイプの透かし彫りの譜面台も国内では流通していますし、それを取り付けることも可能です。

取付例(1)
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取付例(2)
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透かし彫り譜面台などのリメイクピアノのデコレーションはこちらをご参照ください。

KL11-KF 純白鏡面/クロームメッキ仕様

今回は、当工房のメイン業務であるにも関わらずご紹介の少ない(笑)リメイクピアノのご紹介です。

当工房でももっとも人気のある猫足コンソールタイプのピアノですが、今回はお客様のおうちのインテリアに合わせて、塗装を鏡面つや出し仕上げ+金属部品をゴールド→シルバーへの変更というめずらしい仕上げにしましたのでご紹介します。

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元々この機種に施されている塗装はセミ・オープン・ポアといって、木の質感をある程度残したままの表現するために、木の表面の導管(木が水を吸い上げる細い管)を埋めずに仕上げされています。

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鏡面つや出しに仕上げる場合は、一度その導管を埋めてしまってから上塗りの塗料を吹き付け、その後鏡面に研磨します。

また、ペダルなどのピアノの外観にある金属部品は、この機種の場合アンティーク感を出すために真鍮製のパーツの上から燻した様な風合いの塗装が施されています。

木目からホワイトやピンクに塗り替える場合には、一度その塗装を剥離して磨き直すと真鍮の金色の鏡面仕上げになるのですが、今回はインテリアに合わせてゴールドではなくシルバーでというご要望でしたので、真鍮の上から装飾メッキを施すことになりました。

外装の金属部品は、目立つところではペダルや鍵盤蓋のヒンジなどがありますが、実は細かい部分まで見ると意外と数は多いのですが、全体の質感を保つためにはやはりすべて統一した方がよいので、細かい部分までメッキを施してあります。

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加工前のペダル

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メッキしたペダル

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組み上がるとこうなります。

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目立つ部品としては、鍵盤蓋のヒンジや飾りつまみも。

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譜面台を支える小さな部品もぬかりなく。

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猫脚の先端のキャスター。

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少しだけ見える鍵盤押さえのヒンジ。

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屋根を支える支柱もこのタイプのチャームポイントです。

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外から見るとこれだけの部品も・・・

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部品全体ではこれだけになります。

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イスの脚の先端の飾り部品も、ペダルやキャスターとの統一感で大切なアクセントになります。