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ピアノ修理(ウィペンヒールクロス貼り換え)

ピアノの修理についてご紹介します。

ダンパーレバークロス貼り換えと同様に、金属または木製の部品との摺動面にあるフェルトが削れてしまう例です。

アップライトピアノのハンマーは、普段見えている部分から先もピアノの内側に続いていて(見えている部分の3倍ほどの全長があります)全長の真ん中を軸にシーソーの様な動きをしてアクションを動かしています。

鍵盤の最後部には、アクションを動かすためにキャプスタンボタンが取り付けられていて、アクションのウィペンと呼ばれる部分を下から押し上げて鍵盤の動きをハンマーに伝えています。

キャプスタンボタンは、現在ではほとんどが表面がツルツルの樹脂製ですが、古いものは木製のものも多くあります。

ボタンの形状は長細い円筒形をしていて、ウィペンと接する端面はドーム状に真ん中が高い球形になっていますが、端面は木口方向(生えている木に対して切り株の様に直角に切った方向)になるので、材質の管理や使用の条件などによってその表面がささくれた様に荒くなっているものがあります。

ウィペンのボタンと接するところには、ウィペンヒールクロスという固くて繊維の入ったフェルトが貼ってありますが、ダンパーレバークロス貼り換えと同様の理由で、それがボタンによって球形に抉られてしまいます。

動作としてもダンパーレバークロスの場合と同様に、抉られた穴から脱出するために余計な力が必要になったり、途中で引っかかって動きが悪くなったり動かなくなったりするので、ウィペンヒールクロスを新しいものに張り替えます。

また、キャプスタンボタンの頭頂部も整形し表面を滑らかにして、仕上げに黒鉛を刷り込む様にして塗布します。