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ピアノのペダル磨き

GWということで、ご家庭でも出来そうなピアノのメンテナンスとして、ピアノのペダル磨きをご紹介します。

ずいぶん前に読んだ「パリ左岸のピアノ工房」の中でも、ペダルを磨いていないピアノはなかなか売れないみたいなことが書いてあった記憶がありますが、ペダルが光っているのはピアノが良くなって見えるポイントの様です。

機能的には錆びていようが光っていようが同じなのですが、当工房の大切な方針のひとつに「子供さんが自分でピアノに向かいたくなる」という動機付けは非常に大切だとの思いがあり、日常の業務の中でも「見た目」は特に大切にしています。

ペダル磨きは通常はピアノを寝かせてペダル単品を外して機械を使って作業していますが、ご家庭でも出来る手磨きの様子をご紹介します。

茶色く錆びたペダル。

用意するものも、ホームセンター等で手に入りやすいものを使ってみました。
・コンパウンド(一般的にメジャーでお手頃なピカールや自動車用の超微粒子タイプのものが良いと思います。)
・耐水ペーパー(#800〜#2000くらいで数種類、錆や傷が深い場合には#400や#600からあれば便利です。)
・ウエス(ぼろきれ)
・マスキングテープ
・ばけつ
・ぞうきん
・その他・・・置換型の錆び取り液はヤマハ等真鍮むき出しのもので錆や傷がそれほど深くないものには有効です。
新聞紙等(水研ぎの汚れた水で床を汚さない様に。)

作業前に、ペダルの周囲のフェルトを汚さない様にマスキングしておきます。

床を汚さない様に新聞紙等を敷いておきます。自分がお客さんの家で作業する場合、最近はペット用の吸水性のシートを使っています。

耐水ペーパーに水をつけて、荒い番手のものから徐々に細かいものへペーパーがけします。
イメージとしては、いちばん荒いもので錆や傷をきれいに落とし、細かいものでペーパー自体の傷を徐々に消してゆく感じです。

#2000番くらいまでペーパーがけしたところ。

ウエス(ぼろきれ)にコンパウンドをつけて磨きます。

磨き終わったところ。表面が錆びていても磨けばまたピカピカになります。

マスキングを外して出来上がりです。
磨いたものといないもので、ピアノ全体の印象が大きく変わるのは本当に不思議です。

通常ペダル単体で施行する場合は、この後再び錆びないためのコーティング処理をしています。
ご家庭では、うっすらと錆が出てきた頃に再びコンパウンドがけをすれば、それほど苦労なくピカピカの状態を保つことが出来ると思います。

河合系等のペダルは、真鍮の表面に金メッキ処理が施されていますがその下から錆が出てきますので、メッキを剥がす分少し荒めの番手(#400や#600)から同様の作業をします。

海外製のピアノ等、ごく稀に真鍮ではなく鉄に金メッキをしたものがありますが、その場合は磨くと銀色になりますので、金色にする場合はメッキ屋さんで再び金メッキする必要があります。

鍵盤蓋の内側のメーカー名や、鍵穴の周り等の金色の部分も同様にしてピカピカにすることが出来ます。(周りの塗装部分への影響には注意が必要です。)