ピアノの修理についてご紹介します。
ダンパーレバークロス貼り換えと同様に、金属または木製の部品との摺動面にあるフェルトが削れてしまう例です。
アップライトピアノのハンマーは、普段見えている部分から先もピアノの内側に続いていて(見えている部分の3倍ほどの全長があります)全長の真ん中を軸にシーソーの様な動きをしてアクションを動かしています。
鍵盤の最後部には、アクションを動かすためにキャプスタンボタンが取り付けられていて、アクションのウィペンと呼ばれる部分を下から押し上げて鍵盤の動きをハンマーに伝えています。
キャプスタンボタンは、現在ではほとんどが表面がツルツルの樹脂製ですが、古いものは木製のものも多くあります。
ボタンの形状は長細い円筒形をしていて、ウィペンと接する端面はドーム状に真ん中が高い球形になっていますが、端面は木口方向(生えている木に対して切り株の様に直角に切った方向)になるので、材質の管理や使用の条件などによってその表面がささくれた様に荒くなっているものがあります。
ウィペンのボタンと接するところには、ウィペンヒールクロスという固くて繊維の入ったフェルトが貼ってありますが、ダンパーレバークロス貼り換えと同様の理由で、それがボタンによって球形に抉られてしまいます。

動作としてもダンパーレバークロスの場合と同様に、抉られた穴から脱出するために余計な力が必要になったり、途中で引っかかって動きが悪くなったり動かなくなったりするので、ウィペンヒールクロスを新しいものに張り替えます。

また、キャプスタンボタンの頭頂部も整形し表面を滑らかにして、仕上げに黒鉛を刷り込む様にして塗布します。

admin on 4月 28, 2012 | category: ピアノ修理 | コメントする
ピアノの修理についてご紹介します。
鍵盤を押さえたままのときや、右側のペダルを踏んでいるときにはピアノの音は鳴ったままになりますが、それ以外のときには音がとまります。
ピアノはハンマーが弦を叩いて音を出しますが、その弦はそのままだと振動が徐々に無くなるまでゆっくりと減衰しながら鳴り続けます。
その状態で曲を弾くと、たくさんの音が混じって汚い音になるので、不要な音はその都度止める必要がありますが、その役割をしているのがダンパーです。
アクションを裏側から眺めると、小さなフェルトがたくさん並んでいる部品がそれです。

ダンパーはダンパーレバーに取り付けられていて、鍵盤を押したときとペダルを踏んだときにテコの原理で動く仕組みになっています。
鍵盤を押したときは、1つ1つのアクションが動くと、その後ろに取り付けられているスプーンという耳かきの様な部品がレバーを押して動かす仕組みになっています。
スプーンは金属製、レバーは木製で、摺動面にはフェルト(ダンパーレバークロス)が貼ってあり摩擦を吸収しています。
湿気などでスプーンの表面が錆びるとその表面がギザギザのヤスリの様になって、ピアノを弾けば弾くほど相対する部分のフェルトをヤスリがけしていることになり、フェルトはスプーンの形に削れていってしまいます。


こうなると、鍵盤を押さえるたびに、削れた穴からスプーンが脱出するための余計な力が必要になり、鍵盤が重くなったり、スプーンが途中で引っかかってうまく動かなくなったりします。
この様な場合には、フェルト(ダンパーレバークロス)を新しいものに貼り直して、それと同時にスプーンについた錆を落として表面をつるつるに磨き直します。


(右側が磨いた後)
また、ペダルを踏んだときすべてのダンパーを同時に動かすための、ダンパーロッドという部品も同様に作業します。

※ピアノの部品で「クロス」は「フェルト」の中に繊維が入ったものを指します。
admin on 4月 24, 2012 | category: ピアノ修理 | 1 Comment
ピアノの修理についてご紹介します。
こちら(北陸)では特によく見かけますが、湿気の影響でピアノのアクションの回転部分の動きが悪くなって、動きにくくなったり重くなったり音が出なくなったりする場合の修理です。
弦を叩くハンマーが取り付けてある根元の部分が「バット」、それをアクション全体のセンターレールに取り付けているのが「フレンジ」で、それらは木製あるいは樹脂製ですが、固定されたフレンジと円運動をするバットの間には金属の軸(センターピン)を介して動く様になっています。



また、金属と木または樹脂が直接摩擦しない様、その間にはフェルトを挟んで軸受けにしてあります。
湿気が多い状態が長く続くとそのフェルトが水分を含みます。
水分を含んだ状態ではフェルトが膨張していますので、もちろん回転の抵抗の直接の原因になりますが、それが乾燥しても湿気がフェルトの表面を劣化させて粘り気が出て抵抗になったり、また、金属のピン自体も錆びて抵抗になったりします。
動きの悪くなったセンターピンを外し、フェルトの表面を専用の工具で削り取って、フェルトとの回転抵抗を確認しながらフェルトを削った分だけもともとのものより若干オーバーサイズの新しいセンターピンを挿し込み、両端を切って交換終了です。


再びアクションに取り付けて、弦とハンマーの位置を調整し動きを確認します。
ピアノ内部にはこの様なセンターピンを介する回転部分が他にも数カ所あり、それぞれが鍵盤の数の分(88本)あります。
admin on 4月 23, 2012 | category: ピアノ修理 | コメントする