ハンドメイドのピアノというと、伝統あるヨーロッパのピアノメーカーの“古き佳き時代”のものはたいがいそうでしょうし、現在の国産メーカーでもフラッグシップのフルコンや上級モデルなどは、熟練した職人さんの経験と勘に頼った工程も多いのでしょう。
”ハンドメイド”という言葉にはその様な意味合いを含んでいるので、ピアノがよく売れていた時代にはそういう要素を「売り」にした中小メーカーや販売店などもあった様で、いまだにそんな響きを引っ張って、中古屋さんが「幻の・・・」なんて売り文句も無きにしも有らずですが、果たして、全部が全部そのイメージで通用するのかというと・・・
この間書いた「パンチング・ペーパー」の記事は良い意味の”職人さん”を感じる例なので、このパーツを例にとって同じ手作りパンチングで比較してみると、

↑こんなのもあります。
しかも、このパンチング・ペーパー自体、多分メーカー製です。
パンチング・クロスですら・・・

フロント・パンチング
パックマンかい(笑)

バランス・パンチング
2つつながっている様なものすらあるので、もしかしたら手作りではなく半自動的に作ったものかもしれませんが、なかなか見られない素敵な光景ではあります。
ちなみに、国内ではかつてけっこう名前の通った「手作り」が売りのメーカーの検査合格証が入っているピアノでしたが、年代的にもヤマハでいうとU3-MとかU3-Aとかの頃のものなので驚きなんですけど、

パンチングの中にこんなの↓とかがあったので

たぶんそっち系のアレなんだと思いますが、
販売やメンテナンスのルートも、まぁ、それなりに相応しい訳で、こういうピアノを「外国製の手作りのピアノ」とか言って販売してたお店のメンテナンスも、たとえばパンチングペーパーでいうと1つのバランスピンに↓こんな順番でてんこ盛りに入ってたり(入ってるだけまだマシという見方もありますけどw)・・・
作業前、見るからに鍵盤ならしや間隔が不揃いでガタガタなのに、間にパラフィンが3枚とか、ほんと素敵なセンスで毒を吐かずにはいられません(笑)

まぁ、筬自体の精度も材質もアレなのである程度は仕方ないんですが、
「子供の頃に買ってもらった大切な外国製のピアノを直してサイレントを取付けて子供と一緒に使いたい・・・」という様なご注文を受けたときに、お客さんの前向きな思いが伝われば伝わるほど、その背景を考えるとかなりテンションが下がります。という愚痴です(笑)
admin on 11月 13, 2011 | category: メンテナンス | コメントする
象牙の鍵盤自体がそれほど多くはないので、漂白の仕事も数自体は稀で、いつもなら天気のよい日を見計らって作業に取りかかるのですが、今回は日程的に限られていたことに加えて週間天気予報が曇りと雨ばかりだったので、ちょっとバージョンアップしてみました(笑)

象牙鍵盤の漂白中
光源として、紫外線硬化型のパテや塗料に照射するUVランプなどいろいろ検討していたのですが、とりあえず試しに近くのホームセンターで手っ取り早く入手可能なブラックライトを当ててみたら、思いの外良い感じの効果がありました。
このアイディア(蛍光灯の器具で紫外線を当てるの)は、以前、インターネットを彷徨っている間にアメリカのピアノリペアのサイトで写真を見たのが頭に残っていて一度試してみたかったのですが、ホームセンターに行ったときにポケットに入っていたお金の都合で、ハーフサイズ(44keyまででちょうどくらいの幅)になりました。(・・・ポケットのお金 ≒ 全財産ですけどw)
もったいないので、漂白するとき以外は電球を付け替えて夜なべ仕様にしてみました(笑)

手元だけを照らすこじんまりとした空間が出来て、チマチマとミクロな作業をするのには工房チックでなかなかいい感じです。
admin on 11月 10, 2011 | category: メンテナンス | コメントする
インターネット上の「中古ピアノの選び方」とか「中古ピアノのチェックポイント」的なものの影響らしいのですが、チューニングピンの根元の錆を落としておいてくれという業者さん(業者向けの中古整備の仕事で)とか、自分でリサイクルショップで買ったピアノを直してくれという持ち込みのお客さんで同じことを言う方がいました。
たしかに、自分が仕入れるときやお客さんのピアノをお預かりした場合にはチェックするポイントではあるんですが、上記のような場合は、はっきり言って本末転倒というか・・・特に業者さんの場合は、中古車の積算走行距離のメーターを戻しておいてくれというのと変わりない気がします。

チューニングピンの錆
ここで重要なのは、ピンの錆というより巻いてある弦の錆であることは言うまでもないのですが、要は、この様な錆が進行すると調律時…もっと言うと打鍵時…最悪は何もしないときにでも弦が切れます。
チェックポイントとして「ピンの根元の錆」を確認するということは、ピンの上部ならクリーニングなどで磨けば錆は落ちるので、磨きにくい部分を見ろという意味だと思うのですが、上記の業者さんの場合、以前【インターネットでいろいろ調べた】お客さんにそれを指摘されたので、根元まで磨いてくれという依頼でした。
錆を磨くことによってそれ以上の進行を抑えるという意味合いは多少あると思いますが、現状よりよくなることはありません。
上の写真は上記の持ち込みのお客さんのピアノのチューニングピンの写真ですが、右から2番目のピンの弦は、粗調律の時点で切れました。(巻いてある弦が錆びていないように見えるのは、弦が切れて巻き口が緩んで反対側が見えているので)
1本切れるということは、この周辺の弦もいつ切れてもおかしくない状態だということです。
上記の業者さんは、その後もいろいろ違和感を感じることがあって、作業の依頼をやんわりとかわしているうちに現在は取引が無くなっています。
持ち込みのお客さんは、ピンの錆=各部の湿気の影響オンパレードで、詳細な点検と説明をして腹をくくっていただいて、総額で安くはない修理をされることになりました。仕入れから任せていただいていたら、もっと程度のよいもので、かかった総額より安いものがいくらでもあるのに・・・
ということで、「中古ピアノの選び方」の第1歩にして一番重要なのは「業者選び」に他ならないというようなお話でした。
蛇足ながら、似たような雰囲気の整備として、切れてもいないブライドルテープを意味もなく交換してあったり、鍵盤の奥の木の部分などをサンディングしてたりするのも、よっぽどカビ臭かったりしたら仕方ないとして、鼠害などの証拠隠滅、もしくは売り口上かピアノ屋さんの自己満足な気がするのはボクだけでしょうか。
そんな暇があればフロントピン&バランスピンをピカピカに磨いたりしてた方が、使う人の感覚的には全然為になる気がします。
admin on 9月 6, 2011 | category: 中古ピアノ | コメントする