ピアノの修理についてご紹介します。
鍵盤を押さえたままのときや、右側のペダルを踏んでいるときにはピアノの音は鳴ったままになりますが、それ以外のときには音がとまります。
ピアノはハンマーが弦を叩いて音を出しますが、その弦はそのままだと振動が徐々に無くなるまでゆっくりと減衰しながら鳴り続けます。
その状態で曲を弾くと、たくさんの音が混じって汚い音になるので、不要な音はその都度止める必要がありますが、その役割をしているのがダンパーです。
アクションを裏側から眺めると、小さなフェルトがたくさん並んでいる部品がそれです。
ダンパーはダンパーレバーに取り付けられていて、鍵盤を押したときとペダルを踏んだときにテコの原理で動く仕組みになっています。
鍵盤を押したときは、1つ1つのアクションが動くと、その後ろに取り付けられているスプーンという耳かきの様な部品がレバーを押して動かす仕組みになっています。
スプーンは金属製、レバーは木製で、摺動面にはフェルト(ダンパーレバークロス)が貼ってあり摩擦を吸収しています。
湿気などでスプーンの表面が錆びるとその表面がギザギザのヤスリの様になって、ピアノを弾けば弾くほど相対する部分のフェルトをヤスリがけしていることになり、フェルトはスプーンの形に削れていってしまいます。
こうなると、鍵盤を押さえるたびに、削れた穴からスプーンが脱出するための余計な力が必要になり、鍵盤が重くなったり、スプーンが途中で引っかかってうまく動かなくなったりします。
この様な場合には、フェルト(ダンパーレバークロス)を新しいものに貼り直して、それと同時にスプーンについた錆を落として表面をつるつるに磨き直します。
また、ペダルを踏んだときすべてのダンパーを同時に動かすための、ダンパーロッドという部品も同様に作業します。
※ピアノの部品で「クロス」は「フェルト」の中に繊維が入ったものを指します。